大腸内視鏡検査の流れ
1.前日の準備
検査の前日には、当院より消化の良い低残渣のレトルト検査食(朝・昼・夕食)をお出しします。
※空腹感が強い方は、素うどんなどの消化の良い食事を召し上がっていただくことは可能です。
就寝前には、当院より処方した下剤(錠剤)を服用していただきます。
2.当日の準備
検査当日は、腸管の動きを活発にする薬剤を服用頂き、30分後に腸内をキレイにするための下剤、
腸管洗浄液を1時間程かけてゆっくりと飲んで頂きます。
※腸管洗浄液は腹痛をおこしたりせず、安心して飲んでいただけます。
※「検査は楽だったが、腸管洗浄液を飲むのはつらかった」とおっしゃる患者様も時々いらっしゃいます
当院では、腸管洗浄液を飲む負担軽減のために、患者様にあった服用法を考案しています。
- 在宅法
- ご自宅で腸管洗浄液を服用し、腸の中がキレイになった状態でご来院いただく方法。
- 院内法
- 遠方より来院される方や高齢な方で、クリニックにて腸管洗浄液を服用していただく方法。
- 注入法
- 胃内視鏡と大腸内視鏡検査を同日に行われる方に限りますが、胃内視鏡検査のときに腸管洗浄液500ml+お水500mlの約1.0Lを胃または十二指腸に注入する方法です。腸管洗浄液を自ら飲まなくても良いため、負担なく腸管洗浄が行えます。
3.検査の流れ
検査台に横になり、軽い鎮静剤・鎮痛剤を静脈注射します。その後、肛門から内視鏡を挿入し盲腸まで挿入します。
約1.5mの長い大腸の腸管をアコーディオンをたたむようにして内視鏡を直線的に挿入する高度な技術により、患者さんに全く苦痛を感じさせずに、しかも速やかに検査を終わらせることができます。
一方、写真のように腸管を伸ばしたときに、苦痛を伴います。このように、腸管を伸ばさない高度な内視鏡技術が、患者さんの負担軽減につながります。麻酔剤を使用した検査では、腸を傷つけても、腸管を伸ばしても痛みを感じないため、身体に大きな危険をもたらす可能性があります。
したがって麻酔剤使用の完全に眠った検査には、注意が必要です。
4.検査が終わったら
検査で使用した注射やお薬の影響で体がふらつくことがありますので、検査後は約30分の間、個室に横になってお休みいただきます。
また検査後のお車の運転は大変危険ですので絶対におやめください。
注意事項
- 血液を固まりにくくするお薬(抗凝血剤の小児用バッファリン、ワーファリン、パナルジンなど)を服用中の方は、血が止まりにくくなります。そのため、以前は検査3日前から服用を中止していただいていましたが、その中止による弊害もあり、現在は服用を中止せず継続していただいています。ポリープを切除した場合などでは、内視鏡的に完全に傷口を縫合しますので、ご安心ください。
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検査当日は普段服用されているお薬(血圧・心臓・喘息のお薬など)を朝早く(8時ごろ)に服用してください。
(ただし、検査当日は、糖尿病のインスリン注射や糖尿病の内服薬は飲まずにご来院ください。) - 検査当日、喉が渇いた場合は水を飲んでいただいてかまいません。
- 空腹感が出た場合はアメやガムなどを召し上がってください。
腸内洗浄に関して
小さながんや陥凹型がんのような発見の難しい病変を見つけるためには、大腸の中をキレイにしなければなりません。
大腸の中に便が残っていると、滞留物に隠れて陥凹型がんなどの発見が一層困難になってしまいます。
ポリープ型がんは見つけられるが、陥凹型がんの発見は困難になります。
ポリープ型がんはもちろんのこと、発見が難しい陥凹型がんもみつけやすくなります。
大腸内視鏡で見つかるがんとは
従来、大腸がんの原因は、いぼ状に突出したポリープと考えられていたために、内視鏡検査の現場ではポリープを発見し摘除することに精力が注がれていました。一方で、陥凹した病変は、ポリープと異なり、速いスピードでがんになりやすく、10㎜以下の小さながんでも転移することがあります。
このような陥凹型がんは発見が難しく見逃されやすい病変とされ、欧米の医師からは日本人特有の病気だと考えられてきました。
院長は、1995年から4ヶ月間英国で日英共同研究員として内視鏡指導を行い、英国の患者様から初めて、陥凹型がんを2例発見し、学会・英文誌に報告しました。現在は国際的にも陥凹型がんが注目されるようになっています。
当クリニックでは、発見が難しいといわれる陥凹型がんを見逃さないように努め、確実な診断と治療を行うことを目標にしています。
欧米で発見された第一例目の陥凹型がん
英国人で初めて発見された陥凹型がんの内視鏡写真。
わずかな赤い粘膜変化に注目して発見した病変であり、一般的には見逃される病変。
色素撒布後の同病変
色素を使用することにより、陥凹した病変であることが確認できます。
この病変は内視鏡による摘除にて完全に治癒しました。
陥凹型がんの診断
当院で発見した大きさ6mmの陥凹型腫瘍(IIc)。
当院ではハイビジョン式拡大内視鏡を用いて、NBIの特殊光により見逃されやすい陥凹型腫瘍の発見に努めています。
このようながんは、便潜血反応テストでは陽性になりません。しかもバリウムの注腸検査やCTコロノグラフィーでも発見が困難です。
このような陥凹型がんの発見には腸管内を綺麗にして精度の高い内視鏡検査を行う技術が要求されます。
日帰り内視鏡手術
他院では開腹手術といわれたS状結腸の大きさ30mmの病変。一部に癌の存在を疑う腫瘍性病変。
一般病院施設では、病変の一部を生検採取し、病理結果を踏まえて、入院措置の上内視鏡治療が行われる場合や、外科的手術になることがあります。
当院では、NBIや色素、ピオクタニン染色などを施し、100倍に拡大した内視鏡観察から、粘膜内に留まる早期癌と診断。前医ですすめられた外科的手術ではなく内視鏡切除の適応と判断し、その場で内視鏡切除が行えました。
切除後の傷口も完全に縫合し、日帰り手術で無事に帰宅され、その後の合併症も認めませんでした。
内視鏡切除された組織像です。内視鏡診断のとおり高分化腺癌を一部に認めるが粘膜内に留まる極めて早期の癌でありました。
完全に切除されており、転移の心配もなく、これで完治と判断された病変であります。
当院は、拡大内視鏡によるポリープの良性・悪性の診断など、正確な診断能力と技術をもっています。
そのため、診断から治療まで1回の検査で終わらせることができます、それが当院の特徴です。